資本主義経済であるかないかに関係なく、通常 物の価格は、需要と供給のバランスの中で決まっていくものである。人口はこれから減少に転じていくのに、マンションだけがどんどん増え続けている。今後も政府がマンション価格の低下を政策的に防止し続け、さらに皆が余剰の金を全てマンション投資につぎ込んだとしても、買いきれない程のマンションが次々に建てられたらどうなるか。買ったマンションを買値より高く買ってくれる人がいるからこそ、投資型マンションの需要があるのだから、このマンション転がしができなくなったら、今市場に溢れんばかりの空室マンションの転売と、次々完成していく新規物件の販売に限界点が見えてくるのは、子供でも分かる道理である。
但し、それはマンションを住むための道具として見た場合の事であり、そうでない場合は少し違ってくる。某国の場合、そうではないため日本のマスコミ等が直ぐにでも起きるように騒ぐ「バブル崩壊⇒経済の崩壊」は,起こりそうで簡単に起こることがなかった。上述した「物の価格」の道理に従えば とっくに価格低下が起きておかしくないのであるが、マンションはこの国では、モノではなく貯蓄できる金券や株式証券と同じ概念で取引されているのが一つの要素ではないかと思う。投資目的のマンションは、内装の無いスケルトンの状態で保有されるので 見た目の劣化が進まない。所有者は、そのスケルトンの箱の40~70年使用権を買っただけなので 住まなければ物業管理費もかからず(日本のマンションのような補修目的の共益費などがない) 不動産税もない。要は維持費がかからないで保有が可能なのである。つまり銀行に預けた現金と同じで 利子が付くまで待てばいいのである。お分かりのように金さえあれば 10戸、20戸所有しても維持費がかからなので負担感もない。道路が整備され 地下鉄が通り 街路樹が整備され 連動してマンション価格が上がるまで何年も待てばよいのである。価格が低迷すれば塩漬けの株式証券のように上がるまで何年も待てばよい。但し 多くの人が銀行に金を借りてまでマンションを購入しているので この場合は、銀行利子が物件維持費となる。これが今までの流れであった。
でも それはあくまで将来マンション価格が多少でも上がるという目論見があるからこその投資であり 買ったマンションの価格が確実に下がると皆が思い始めたら、投資のサイクルは止まり直ちに価格崩壊が始まるであろう。要はそれが何時来るか・・・これは正に株の売買と同じで、多くの人がまだ上がると思っている間は大丈夫である。そう言う意味では、私の周辺の人も含めマンションはまだまだ持っていれば何れ値上がりすると信じている人が多いので、そう簡単にバブル崩壊とはならないかもしれない。
諸外国のバブル崩壊や景気低迷もすべては経済に対する人々の認識の変化から発生する。実際の生活が苦しくとも 明るい将来が見えるなら人は前向きに投資を行う。豊かであっても先が見通せない状況では投資は控えるものである。
経済が二けた成長から6%前後の成長率に変化し コロナを契機にさらに下がっていく。某国政府の発表する経済成長率は嘘か本当かは知らないが、成長していることを人民に認識させなければ バブル崩壊の糸口になりかねない、だから嘘をついても高い成長率を見せかけなければならない。
ただ、周辺状況はますます悪化している、トランプが仕掛けた貿易戦争は、某国の指導者がいくら強がっても確実にダメージを強め某国の力を削いでいく。そして世界経済を某国一人で動かしていると言うような中国夢から人民を目覚めさせるだろう。(品性も節操もなく下品なトランプ君であるが、某国に対し毒は毒で制するという意味では彼は最適で良い仕事をしている、私が米国国民であれば、もう一期彼にやらせてみたい。)
ここ数年物価は上昇するが、人民の給与は殆ど上がっていない。経済の低迷は、確実に余裕だった流動性を減少させるので、マンション転がしにもブレーキが掛かって来るはずである。面白くなってきた。 (2020年8月24日記)